再び車椅子 98年5月31日河川敷公園

今日は久々の晴れ間の休日。
私とAさんと、シェットランドシープドックのメリーをつれて河川敷公園へピクニックです。以前メリーに「今度公園に連れていってあげるからね」と言ったのを覚えているらしく、顔を見る度に催促されるので、お弁当とボールを持ってピクニックです。ボールはAさんと遊ぶのではなく、メリーのおもちゃです。投げると追いかけていって拾って戻ってくる。これの繰り返しですが、メリーもこちらもけっこう真剣です。何度かやっているとメリーが帰り道でくわえているボールをポトリと落とすようになって、私が途中まで拾いに行く羽目に。メリーに遊んであげているのかメリーに遊んでもらっているのか判らなくなってきました。

お腹もいっぱい、メリーに遊ばれて疲れて一休み。シートの上に座ってパソコンを使いこの原稿を書いているのですが、ふとAさんの車椅子が目に止まり、椅子代わりに座らせてもらいました。背もたれがないのが長時間座っているのには辛いけれど、なかなか快適、快適。

いつもAさんの車椅子を押していて段差を越えるとき私が力を入れていないのに前輪がかるくもちあがるのが不思議だったので尋ねてみたところ、車輪へ加える力と重心の移動で前輪を持ち上げることが出来るのだそうです。

何度か挑戦していると、段差の前で前輪が軽く持ち上がるようになりました。そのまま勢いを付けて前進するとあら不思議、以前試したときにはどんなに頑張っても上れなかった段差を通過することが出来ました。

下手くそなのか5回に1度ほどしか成功しませんが何度も挑戦している内にだんだんコツがのみこめてきました。ようは、一瞬の重心移動と思い切りです。

次に千葉市のスポーツセンターで見た、前輪を持ち上げたまま静止するウイリーを、草むらの上で挑戦してみました。段差を昇るときと同じように後輪に力を加え、そのまま体を前に曲げて…・・、と一瞬前輪が上がったのは判ったのですが、そのまま後ろにひっくり返って倒れてしまいました。何度やっても静止するどころかすぐに後ろにひっくり返ってしまいます。もしこれが柔らかい草むらではなくコンクリートだったら最初の1回目の転倒で頭を強打して病院行きになっていたことでしょう。

あとで聞いた話ですが、倒れ方の練習というのもあるそうで、素人が自己流で練習するのは本当に危険だそうです。皆さんもご注意ください。

ふと思いついて車椅子を使って公園の中を1人で歩いてみることにしました。

駐車場でAさんが車から車椅子移ってスロープを使って公園の中に入った逆のコースをたどってみました。ところがスロープの出口に車が止まっていて駐車場に入れない。仕方ないのでバックでスロープを戻って別ルートを探索しても、小さな階段があったり、段差があったりで私一人ではどうにも駐車場に戻れないのです。30分ほどウロウロとしましたが、自分の車の所へ行くことが出来ませんでした。

そして残念ながら私がウロウロしている間、公園で遊んでいる沢山の人が私の方を見ていましたが、誰も手を貸してくれる人は居ませんでした。おそらく30分もの間、私が車椅子に乗ったまま公園の中を移動していれば健常者が興味本位で乗っているとは気が付いていない人が多数居たと思います。それなのに誰も手を貸してくれなかったのは寂しかったと共に、Aさんに初めて出会った時の自分の障害者に対する葛藤を思い返せば仕方ないことだと自分で納得して、元来た道を戻りました。

 
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