鉄道会社の社員から寄せられた現場の生の声

電車に乗る」をある鉄道会社の方に読んでもらいました。

大げさな数字かも知れませんが、99.9%の車椅子を使った障害者が駅員の介助を受けても「ありがとう」の一ことが言えないのだそうです。それどころか、当たり前の顔をして、「対応が悪い」と文句をいって立ち去る人も居るそうです。

日本の駅を初めとする多くの施設が人手による介助を前提として設備が用意されていることは否定できません。その為に利用側はお金を支払い尚かつ不便を強いられている現状も否定できません。

しかしそれだからといって担当者に対して「ありがとう」一言がなければ、二度と手助けなどしたくなくなるというのが人情だと現場の駅員達はいうのです。

その会社でも小さな駅では通常2名しか勤務していないそうです。そのため階段を車椅子で昇り降りするような時には大きな駅から手の空いている駅員に来てもらい、手動式の車椅子では4名、電動車椅子では6名で階段の昇り降りを手伝うそうです。また、車椅子対応エスカレーターを止めるのに1名が安全確認を行ない1名は機械の操作を行ないます。
たとえそのために10分かかろうが、20分かかろうが、全ての作業はお客様の安全第一に配慮して作業するそうです。
しかし手が空いているとはいえ皆何らかの仕事を中断して派遣されてくるわけです。当然それも仕事ですから、きちんと仕事をこなします。

しかし、仕事といえサービスを提供する側も人です。当然感情もあります。なのにサービスを受ける側がさも当たり前の顔をして、「ありがとう」の一言も言わず、代わりに文句を言い残して立ち去れば、面白いやりがいのある仕事として介助に取り組むことが出来なくなり、しいては車椅子を利用しているお客様に対して極めて事務的な対度を取るようになるというのです。

この話を直接聞いた私達は唖然としました。Aさんはいつも何かあると「ありがとうございます」といいます。私もそれにつられて「ありがとうございます」という言葉が当たり前に出るようになってきました。

それだけにサービスを提供する側の現場の声が聞けたのは大変貴重な体験でした。

 
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