出会い

私が所属する部署とは直接関係のない部署での採用と言うことで事前の情報もなく、 突然私の前に現れたその人は車椅子で私の前をスーと通り過ぎていきました。

私は車椅子を使っている人をこんな間近で見るのは初めてで、じろじろ見てはいけないと思いながらも、ついつい目で追って観察してしまいました。Aさんは今にもすくっと立ち上がって歩き出しそうで、外見では何故車椅子を使うようになったのか全く解りません。

その人はしばらく職場の中や休憩スペースなどを車椅子を器用に操ってまわっていました。暫くして採用部署の担当者から私に声が掛かり、「パソコンを使って仕事をしてもらうことになるAさんです。パソコンに関して面倒を見てあげてください」と私に引き合わせてくれました。
その時は挨拶以外に会話をすることもなく、第一印象は漠然と「素敵な人だな。でも体が不自由なんだ。何故なのだろう?」という想いと共に、私の記憶の中に鮮やかに刻みこまれたのです。
まさか私が、半年後には障害者グループの中に入って一緒に活動するなどその時は思 いもしないまま車椅子のAさんが帰っていくのを目で追っていました。

 
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