車椅子階段を昇る Part2


車椅子は介助者の力量によっては介助者1人でも階段が上れる物なのです


1998年12月25日 6月に野田で「愛が聞こえます」の公演を行った青年劇場から忘年会の招待状が届き、Aさんと会社のMOさんそして私の3人で新宿へ向かうことにしました。会社が終わってそのままAさんの車に乗り込んで国道16号線で柏インターへ向かいました。ところが入り口の情報では柏−流山間が事故渋滞。さらに向島から先もいつもの自然渋滞でこのままでは忘年会開始の19時には間に合いそうもありません。仕方なく向島で降りて秋葉原で車から電車に乗り換えることにしました。

この時点で既に18時40分。秋葉原の駅前に車を置き、MOさんに「新宿まで大人1枚。子供2枚の切符を買っておいて」と頼んで、私は車椅子をトランクから降ろしてAさんに乗り移ってもらい改札口でMOさんと合流。改札で駅員さんが「階段の下で待っていてください。人を呼びますから」といわれたものの、1分1秒が惜しくて、8月に教わって以来何度か経験していた階段昇りを私1人ではじめました。

ところが秋葉原駅の階段の滑ること!。この日私が履いていた靴も悪いのですが、ツルツル滑って踏ん張りが効かないのです。ここでAさんを落としてしまっては大事ですからなんとか踏ん張りながら途中の踊り場までたどり着いたものの、足が笑っています。

踊り場で息を整えてさらに登ろうとしたところで通りがかりの男性3人が手伝いますと声をかけてきてくれ、4人で山手線のホームまで持ち上げてくれてました。ここで彼らにはお礼を言って総武線のホームへ上がる階段へまわりさらに登ろうとしていると、先ほどの3人が到着していた電車からわざわざ降りてまた手伝いに来てくれました。この時には正直言って本当に助かったと思いました。

総武線に乗ってAさんはしっかりとポールにつかまっています。そうしないと電車が加速したりブレーキをかける度に体が大きく揺れてしまいます。ここでMOさんと新宿駅で降りるべきか手前の千駄木駅で降りるべきか悩みました。大きな新宿ではホームから改札、さらにタクシー乗り場まで距離があり、タクシー乗り場も行列が出来ていると困るので手前の千駄木駅で下車してタクシーを使うことにしました。

結局この判断でタクシー待ちの行列は無かったのですが、今度はなかなかタクシーが来ない。しばらく待って来たタクシーはなんとクラウンのワゴン車でした。Aさんの車椅子は介助用の取っ手が折り畳めないので液化燃料のボンベを後ろに積み込んでいるタクシーのトランクには入らないために、私が車椅子を抱えて乗り込む覚悟をしていたのでまたまた助かりました。

予定より1時間遅れで青年劇場の稽古場に到着した時には宴もたけなわ、劇団員による、いつもの演劇のパロディー版や歌などが行われていました。お腹がすいていた私はテーブルの上に置いてある食べ物を手当たり次第詰め込んで・・・、あとはワーワーと騒いでいました。


帰りはタクシーで新宿駅東口で降りた私達は目の前に有ったみどりの窓口で介助をお願いしました。そして160円と80円の切符を遠距離切符と同じ装置で発行してくれました。なんかとても珍しく貴重な切符です。 駅員の誘導で秘密の通路を通り、エレベーターで地下に下り、今度はエスカレーターでホームに上がりラッシュとは言えないもののAさんにとっては混雑している電車にのって秋葉原へ。さらに車に乗り換えて自宅にたどり着いたのは12時でした。

おまけ

Aさんと交通機関を利用したことは何度か有りましたが、目的地が決まっていて、さらに時間に追われているというのは今回が初めてでした。最近車椅子の扱いに妙な自信がついていた私ですが、時間に追われ慌てていると思わぬ危険が潜んでいることを身を持って体験しました。また介助するのに適切な服装や靴を選ぶことが必要であることも判りました。

 
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